カシオペアスイート(メゾネットタイプ)乗車記 はじめに
寝台特急カシオペアについては、寝台特急カシオペアのページをご参照ください。また2006年カシオペアツイン乗車記もご参照ください。
2015年8月10日から11日にかけて、寝台特急カシオペアに乗車し、上野駅から札幌駅までのおよそ19時間、極上の旅を楽しんだ。
2015年のGWに引き続きの計画を立てた理由は、寝台特急カシオペアのスイートだ。春の旅行では当日にスイートを断念し、2007年に大雨で運休から2回続けての当日の断念となってしまった。
北海道新幹線が運行を開始すれば、カシオペアはいつ廃止になるか分からない。そこで早めに乗っておこうと、3度目の正直を願って、計画を立てることにした。
現在残っている上野-札幌間の寝台特急には、カシオペアと北斗星がある。各1編成が上野と札幌を交互に往復しているが、運行しない日もあるため注意が必要だ。以前調べた運行計画を参考にしていただければと思う。
ダイヤは、北斗星とカシオペアともに同一で、札幌行き下りは16:20発11:15着。上野行き上りは16:03発9:25着。下りの方が2時間程度長く寝台を楽しめる設定となっている。下りの2時間は、青森駅で時間調整をしているようだ。ここは、長く楽しみたいので札幌行きを狙うこととした。
寝台券は1ヶ月前の10時から発売される。今回の狙いは先に書いたように、札幌行きのカシオペアスイート。運行日程によると、8/8と8/10の札幌行きが利用できそうだ。これに加えて、8/9の札幌行き北斗星ロイヤルも狙ってみることにした。
そして、7/8に挑戦、取れず。7/9挑戦の北斗星ロイヤルも取れず。諦めかけたそのとき、7/10挑戦のカシオペアスイート・メゾネットタイプ(2号車2番)を取ることができ、北海道に旅行することが決まった。
カシオペア乗車
準備も終わりいよいよ当日、2015年8月10日。ついに念願のカシオペアスイートに乗車した。乗車区間は上野から札幌だ。
発車は16:20だが、上野入線はかなり早く、15:35だ。その30分ほど前に上野駅に行き、飲み物やビールなどを買い込んだ。カシオペアでは車内販売はあるものの、ペットボトル等の飲み物やビール等、それに必要に応じて軽食は買っておくのがよいと思う。
あとは13番線でカシオペアの到着を待つだけだ。
入線は予定通り15:35。少し前からホームで撮影の準備をしていたが、入線のときには人でごった返してしまい、撮影することはできなかった。13番線ホームで待ったのは失敗だった。
入線後、特に展望スイート前は記念撮影スポットになっている。わたしも混ざって何とか撮影することができた。
15:40には乗車できるようになった。この時点からシャワールームの予約が始まるのだが、今回はシャワーのあるスイートなので予約する必要がなく、この点は楽だ。発車までしばらくあるので、車内を見て回ったり、落ち着いてきた機関車や展望スイートの前で撮影をしたりした。
カシオペアスイート・メゾネットタイプの部屋
さて、肝心の自室、カシオペアスイート・メゾネットタイプだ。
カシオペアツインの最も一般的な客室は上段と下段の2種類だが、この上下と階段を1室で占有するのがカシオペアスイート・メゾネットタイプのイメージだ。下段は寝室とクローゼット。上段がリビング、トイレ、シャワー室だ。下段は据え付けのツインベッドで、これがスイートの特徴だ。上段のリビングは、ツイン同様ソファーをベッドにすることができ、これを使うことで3人で利用することができる。展望室タイプは2人でしか使えないので、これはメゾネットタイプのメリットだ。
平屋建てで広く使えるカシオペアスイート・展望室タイプと比較すると、上下で分かれているのでどうしてもパッと見た目は狭く感じてしまう。ただこれはメリットでもあり、夜、1人は寝室で休み、1人はリビングでくつろぎながら本を読んだりシャワー室で汗を流す、といったような使い方もできる。
リビングのインターフォンはダイニングカーにつながっていて、ルームサービスを受けることができる。予め決めたルームサービス(夕食、モーニングコーヒーなど)で使った食器の片付けをお願いするときに使うことが多いだろう。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ寝室。寝室が独立しているのはメゾネットタイプのメリットだと思う。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ階段。踊り場のようなところは出入り口で靴を置くスペースにできる。カシオペアスイート・メゾネットタイプはツインと違い、階段も個室の一部だ。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ寝室手前のクローゼット。クローゼットもスイートの特徴だろう。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ リビング手前の収納スペース。リビングをベッドにするときのセットはここにある。壁に掛かっている板は補助テーブル。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ リビングをベッドにした状態。3人利用の場合はこのベッドを使う。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ 洗面台とトイレ。ひげそり用のコンセントがある。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ シャワー。時間は18分で3人での利用を考慮しているようだ。好きなときにシャワーを使えるのはカシオペアスイートの特典だ。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ アメニティセット。ツイン用と異なりシャワーセットもついている。
カシオペアスイート・メゾネットタイプ補助テーブル。ウェルカムドリンクを置くのに便利。
備え付けのテレビ。このようにナビ画面を出したり、NHKのBS放送を見ることができる。
駅に近づくと表示が変わり、教えてくれる。
16:20になり、いよいよ発車。16:24には早くもウェルカムドリンクが運ばれてきた。これはスイートとデラックスの特典の1つだ。ミニバーセットで、ウイスキーの小瓶(響12年)・ワイン(北海道ワイン・おたるケルナー2013)・ミネラルウォーター・氷、のセットだ。ウィスキーはしばらく前はROYALだったはずなので、いつからか変わったらしい。ケルナーのこのラベルは、カシオペアのウェルカムドリンク以外で見たことはないものだ。
ここでルームサービスについて聞いてみた。パブタイムと朝食がルームサービス可能とのことで、朝食のルームサービスは必要であれば今予約をして欲しい、とのことだった。受けた感触では、パブタイムのルームサービスはダイニングカーの混雑で対応できないことがあるためあまりお勧めはしていないように見えた。朝食については、ダイニングカーでいただくことにした。
併せて翌朝のモーニングコーヒーのルームサービス時刻を訪ねられた。これもスイート・デラックスの特典だ。今回は9時にお願いした。
さて。まずは、上野駅で購入したサッポロクラシックで乾杯だ。
喉を潤したところで、夕食までまだ時間があるので、ラウンジカーまで車内を歩いてみることにした。利用している部屋は2号車。ラウンジカーは12号車なので、かなり遠い。
ラウンジカーには「カシオペア思い出ノート」があり、乗客の方々がカシオペアへの思いを書いているようだった。
上野を出てしばらくすると大雨となった。しばらく走って通り抜けたが、上空はかなり不安定のようだった。
17:25くらいに自室に戻った。ウェルカムドリンクのケルナーは夕食の時に開けようと思っていたのだが、目の前にあるワインを黙って見ているのは難しい。ということで、開けてしまった。
カシオペアでの夕食とパブタイム
17:35には夕食のルームサービスがあった。今日の夕食は、カシオペアの懐石御膳。スイートの特典で、事前予約でルームサービスが使えるので、これを利用させていただいたのだ。ダイニングカーでのディナーももちろん良いが、自室でのんびりといただくのも良いものだ。とてもおいしくいただけて、大満足だ。
ディナーカーでの夕食は、カシオペアの場合は、17:15-、18:30-、20:10-の3回。席に限りがあるので、切符が取れたらすぐに駅で予約したい。ただし1回目の懐石御膳は、スイート・デラックスの場合はルームサービスをお願いできる。
なおダイニングカーでの食事は、カシオペアの醍醐味の1つだ。今回これは、予約不要のパブタイムと朝食で利用するつもりでいる。
おいしく食事をいただいていると、ワインを飲みきってしまった。本来スイートではルームサービスで頼めると思うのだが、アテンダントの方はどうにも忙しそうだったので、ちょうど始まった車内販売で、サッポロクラシックとオリジナルラベルの白ワイン(北海道ワイン ミュラー・トゥルガウ)をお願いした。
このとき一緒に購入したグッズは、カシオペアマグカップ、キーホルダー、ヘッドマークストラップ、ICカード用パスケース、カシオペアヘッドマーク、一輪挿し、EF81のNゲージ、トートバッグカシオペア。これらはセットになっていて、それを購入した。加えてカシオペアサブレ、星のクーヘンカシオペア、DD51チョロQを購入した。
グッズは1万円以上したが、もう乗ることは無いだろう、と思うと購入してしまった。
最後の甘味を食べ終えて、くつろいでいたおよそ19:10、列車が停車した。場所は郡山手前の安積永盛駅。アナウンスによると、大雨のため東北本線が運転見合わせになっているとのことだ。併せて、2時間までの遅れであれば、青森駅での2時間の停車時間を使って挽回できるとの説明があった。30分ほどして、およそ40分遅れの19:50に郡山駅までは進んだ。大雨のため郡山駅と福島駅間で運転見合わせで、しばらく郡山駅に停車するとのことだった。運転再開の見通しは立っていないらしい。
周辺の降雨情報をスマートフォンで確認すると、確かに範囲は狭いが、付近で大雨が降っている。
こうなると、恐ろしいのは運転打ち切りだ。2007年の大雨で運休したときの記憶が、脳裏をよぎる。せっかくスイートに乗車できたのに、という思いと、これから後の旅程を考えると、多少の遅れは耐えられるが、打ち切りだけは避けて欲しい。
だが、心配していても仕方無い。せっかく郡山に停車しているのだからと、一旦外へ出て展望室スイートと機関車を撮影した。
機関車は撮影している内に突然ライトが消え、不安が増す。
21:00を過ぎ、まだ動かない。パブタイムが迫ってきたのでとりあえず車内に戻り、ダイニングカーの通路に並んだ。冷房が弱いのか、暑い。スイート・デラックス利用の場合はルームサービスもできるので、それも良さそうだ。しばらくして、通路は待つ人で混雑してきた。
スマートフォンで運行情報を確認すると、東北本線は運転を再開していた。ほどなくして車内アナウンスでも運転再開のアナウンスが入り、130分ほどの遅れで、21:25頃に郡山駅を出発した。打ち切りは免れ、正直ホッとした。
パブタイムの開始は21:40。いつもならワインを頼むところだが、今日は既に2本開けているので、サッポロクラシックに変更とした。他に頼んだものは、北海道ソーセージ盛り合わせ、ポテトフライ、ピッツァ・マルゲリータ、夕張メロンゼリーだ。
ポテトフライは今回初めて頼んだように思うが、おいしいじゃがいもだった。
なおパブタイムは、22:30ラストオーダーで、23:00までだ。さほど時間が無く、2回転目で入れないと、厳しそうだ。早めに並んでおくことをお勧めしたい。
部屋に戻りシャワーを浴びて汗を流した後、再度ラウンジカーの様子を見たりしている内に、一関に到着した。時間は00:35くらい。
日の出は4:42くらいなので、4:30くらいに起きてラウンジカーに行くことにし、ベッドに入った。
カシオペアスイートでの朝、そして旅の終わり
翌朝4時過ぎ。カシオペア備え付けの地図画面を見ると、青森の少し手前だった。機関車の切り離しが見られるかもと考えラウンジカーに向かったが、ちょっと間に合わなかった。青森発は4:20くらいで、昨日の2時間以上の遅れはおおよそ取り戻したと言ってよいだろう。
しばらく展望の開けたラウンジカーからの景色を楽しみ、自室に戻った。
青函トンネルは5:10くらいに入り、5:53くらいに北海道に上陸。函館までの間もう一度ラウンジカーからの景色を楽しもうと思ったが、既に朝食の列がダイニングカーにできていたので、一旦並ぶことにした。
6時過ぎにアナウンスが入り、7分遅れで走行中とのこと。
函館到着前に同乗者と列を交代し、ラウンジカーへ。ラウンジカーから機関車DD51の連結を眺めるためだ。
6:42に函館到着、6:46には連結完了。これを見届けたのち、再度同乗者と交代して、ダイニングカーに並んだ。カシオペアの廊下は全室トイレつき個室で動き回る必要が少ないからか、狭い。ダイニングカーの廊下も同様で狭い。人がすれ違う程度であればさほど支障は無いが、列の脇を通るのはなかなかに大変で、順番待ちの交代も一苦労だ。
ダイニングカーの廊下は今日も暑い。スイート・デラックス利用の場合は、1時間並ぶよりもルームサービスを頼んだ方がよいかもしれない。
モーニングタイムの朝食は1650円。洋朝食と和朝食が選べる。なお和朝食は売り切れる場合がある。時間は7:00-10:30で、ラストオーダーは10:00だ。
なお、函館駅を過ぎると車内販売でのお弁当の販売が始まる。売り切れることがあるので注意したい。
9時に、モーニングコーヒーのルームサービスがあった。これはスイート・デラックスの特典で、前日にルームサービスの時間を指定しておく必要がある。わたしは朝食後しばらくしてからいただこうと考えていたので9時にお願いしていたが、ほぼ時刻通りにサービスをしてくれた。
そのコーヒーを飲みながら、リビングからの車窓を楽しんだ。
早いもので、そろそろ札幌が近くなってきた。ふと札幌方面を見ると、黒い雲が空を覆っている。スマートフォンで降雨情報を確認すると、札幌近辺が大雨になっている。果たして札幌に近づくとものすごい雨がカシオペアを襲った。この雨の中、カシオペアは札幌に到着した。
札幌駅到着は11:18くらい。駅に着いた途端、雷が近くに落ちた。
こうして、念願だったカシオペア・スイートの旅は幕を閉じた。
途中何度も雨に降られ、特に郡山では運転見合わせもあり心配もしたが、無事に札幌に着いてよかった。
寝台特急カシオペア 上野〜札幌 GPSログ。郡山で2時間遅延あり。