はじめに
機会があって2003年11月16日と23日、二週連続でSLに乗ることができたので、紹介します。また16日には長瀞ライン下りも体験したので、それも合わせて紹介します。
乗ったSLは、16日が秩父鉄道のパレオエクスプレス(C58363)、23日がJR東日本の磐越西線を走る、磐梯会津路号とばんえつ物語号(C57180)です。
なお今回も、特に位置情報は提供しておりませんので、ご了承ください。
SLパレオエクスプレス
下調べ
まずは、熊谷駅と三峰口間を1日1往復している、秩父鉄道のSLパレオエクスプレスです。このページはとても充実していますので、パレオエクスプレスの利用前にご覧になるのがよいかと思います。内容は(本ページ作成時は)以下の通りです。
- 各月の運行スケジュール
- 運転時刻表(停車駅にいつ到着しいつ出発するかも記載)
- 蒸気機関車C58363についての説明とパレオエクスプレスという名称の意味
- 使用している客車の説明
- エンジョイガイド
- 切符の購入方法
まず、この列車に乗るには整理券を購入する必要があります。購入には複数の方法がありますので、パレオエクスプレスのページにある「切符の購入法」を参照して、切符を購入してください。ちなみにわたしたちは、事前に予約したのち熊谷駅改札口前の引換所で購入しました。価格は500円で、JRの指定席券とほぼ同額です。乗車日の一ヶ月前から予約開始なので、できるだけ早くに予約することをお勧めします。遅くなると無くなってしまいます。ところでこの整理券はあくまでも整理券で、列車そのものは自由席です。当日の席は早い者勝ちです。ご注意ください。なおわたしたちは、熊谷から終点三峰口までの整理券を購入しました。
また当然、乗車するためには乗車券も必要です(逆に言うと、SLという珍しいものに乗るのには、乗車券と整理券だけでいいのです。整備・運用の大変さを考えると、安いなぁ、と思ってしまいます)。わたしたちは秩父路遊々フリーきっぷ(1400円)、を当日購入しました。熊谷から三峰口までは920円ですから、その往復をすると考えればお得です。ライン下りのある長瀞までも740円ですから、その往復をするとしても若干はお得になります。
整理券が確保できたら、次はエンジョイガイドのチェックです。出発する熊谷の駅の説明では、出発時刻だけでなく入線時刻まで書いてありますので要チェックです。またグッズやSL弁当の紹介も載っています。なおこのSL弁当、しばらくすると売り切れてしまいます。購入される場合は出発前の購入をお勧めします。購入場所は一番前の車両です。このエンジョイガイドには入線の説明や車両の説明も簡単に書いてあります。ちなみに入線のときは電気機関車が引っ張ってきますが、ここの説明を読んでおくと、当日に驚かなくて済みます。またここに書いてあるような話を予め知っておくと、当日、楽しみが増すというものです。
熊谷駅ではなく、他の駅の説明も書いてあります。抑えておくべきは、寄居や長瀞と言った10分程度停車する駅です。当然この時間があれば、車両から降りて記念撮影をすることができます。
次にチェックをするのは、荒川橋梁や安谷川橋梁と言った橋の通過です。このときには橋からの絶景を眺めることができます。また長瀞ライン下りを体験するときに、SLが荒川橋梁を渡る時間を把握しておけば、橋を渡るSLの姿を眺めることもできるかもしれません。
そして最後が三峰口です。ここではお客さんが列車から降りたあと、SLのみが切り離されて前の方へ移動し、そこで給水、排炭などを行います。またこれらの作業が終わったあとは転車(SLは前後のある列車なので、向きを変えないと客車の先頭に接続できないのです)作業が始まります。今となってはなかなか見ることができないものですので、三峰口まで行かれる場合は、ご覧になることをおすすめします。
次に、蒸気機関車に乗ったはいいが現地で何をするのか、についてです。SL、動いているものに乗れるのは感動するのですが、よっぽどの鉄道好きでもない限り目的がSLだけというのも何ですから、何かしら現地で何をするのかを決めておきたいものです。わたしたちの場合は、三峰口まで出たあと、普通電車で長瀞まで戻って、紅葉の中ライン下りを楽しみました。なおわたしたちの乗った2003年11月16日は、若干紅葉には早かったらしく、ライン下りの船頭さんが、来週くらいが一番よかったのにねぇ、と言っていました。秩父鉄道のページには観光案内のページがあり、ライン下りもあります。コースの説明などもありますので、事前にご覧になっておくことをおすすめします。
最後に余裕があれば、SL自体のことについて見ておくのもいいと思います。秩父鉄道のページにあるように、この車両は戦争中の昭和19年に製造され昭和47年に廃車となり、その後は埼玉県の吹上小で保存されていたとのことです。昭和62年に復活し、翌年から秩父鉄道で活躍して現在に至っています。もう製造されてから60年も経っているというのに元気に安全に走り続けているのですから、その設計・製造の技術と、そして整備の完璧さに、敬服することしきりです。
なお、パレオエクスプレスは04年5月時点では点検中です。04年7月下旬から走り始めるそうです。04年5月に、たまたま検査中のパレオエクスプレスがJR東日本大宮工場で展示されていました。
いざ、乗車!
さてここまで調べたら、当日を待つだけです。朝、上野駅からJR高崎線でSL起点の熊谷駅に向かいました。わたしたちは発車30分前ほどに着いたのですが、SLは自由席なので、特に何人かで行く場合にはそれでは遅すぎます。適当に早めに行って、パンフレットでも眺めながらSLの到着を待つのがいいのではないでしょうか。
秩父鉄道の熊谷駅は、わたしたちが着いたときには時期が時期だけに人でごった返していました。まずはSLの整理券を購入する必要があります。前述しましたが、改札口の前で購入できます。予約番号が必要なのでご注意ください。このときにA4サイズのパンフレットがもらえます。表はSLの写真と時刻表・路線図、裏は沿線ガイドです。便利ですので、必ず入手してください。次に乗車券(フリー切符)を購入して、ホームへと向かいました。ホームはそれほど幅がある訳ではない上に、普通列車も発着するために、両方を待っている人でさらにごった返しています。特に先頭車両側は人が多い上に売店などがあって場所が狭いため、大変です。先頭車両にこだわらないのであれば、最後尾の車両で待つのが、待つこと自体は楽です。
入線時刻になると、専用の機関車に引っ張られて、パレオエクスプレスがバックで入線してきます。本当はここで入線の映像やSLの写真を撮りたいところなのですが、何せ自由席なので、まずは席の確保が先です。そして席が確保できたら次は、食料の確保です。先頭車両のSL側でSL弁当が売っていますので、飲み物とともに購入します。入線して発車まで10分ですから、お弁当を購入した頃には出発となります。
この出発で、まずSLの魅力の1つである、ポーーーッという汽笛と、引っ張られるような感覚で徐々に加速していく様子を体感できます。この汽笛ですが、わざわざ録音装置を社内に持ち込んでいる人がいるくらいで、鉄道好きでなくとも心惹かれるものがあります。汽笛は当然先頭車両が一番よく聞こえるのですが、後ろの車両でも十分に楽しむことができます。
かくして、SLの旅が始まりました。時たま、物珍しそうにこちらを眺めていたり、手を振ってくれたりするギャラリーの姿が見えますので、こちらも手を振り返したりします。また、線路脇にはかなりの数の鉄道好きなカメラマンの姿もあります。こういう光景を見ると、珍しい列車に乗っているんだなぁ、と改めて思います。
しばらく走ると、パンフレットにある「ビューポイント」を過ぎます。パンフレットのビューポイントには通過時刻も記載してあり、とても便利です。最初のビューポイントは田園風景とのことで、わたしたちが乗車したときには裸の田んぼが広がっているだけでしたが、時期がよければ、黄金色に輝く稲穂が見られるとのことです。
ところでSLと言っても、乗っているだけでは汽笛や独特の引っ張られながら加速する感覚以外は、普通の列車と変わりません。ですので、ここは窓を開けて外を覗いてみましょう。いい具合にカーブしているところであれば、この写真のように煙をたなびかせて走るSLの姿を見ることができます。窓を開ければすぐそこに走っているSLの姿が見られる、これは、実際に乗車してみないと味わうことができない風景かと思います。また、先頭車両に乗ってしまうと、逆に近すぎてこのような風景は見ることができません。ですので、たまには後ろの方の車両に乗ってみるのもいいのではないでしょうか。なおこのときの注意点ですが、メガネなどが必須です。何かしら目を守るものがないと、ススが目の中に入ってくるため、痛くて景色を見るどころではありません。また窓を開けると、ススは車内にも入ってきます。折角のお弁当にススが入らないようにするとともに、周りの方の迷惑にならないよう、ご注意ください。
列車は秩父セメントの貨車を横目で見ながら先を進みます。一度武川で停車しますがすぐの出発になりますので、記念撮影は次の寄居まで待つことになります。そしてこの寄居に着くと、大勢の人がダッシュで機関車へと走ります。ここでは、SLの上に立っての記念撮影や、機関士さんがいれば運転席に入っての記念撮影も可能です。運転席をのぞき込むと、燃えさかる石炭を見ることもできたりします。とにかく記念撮影は順番待ち、そして停車時間は10分ですので、記念撮影をしたい方は早めに済ませることをおすすめします。パンフレットに書いてある時刻(2003年は11:03)が出発時刻ですので、それまでには列車に戻ってください。
この次の停車駅は長瀞です。ここは観光地の玄関口ですので、途中駅ではここでの乗り降りが一番多いようです。ここでも停車時間は10分ほどありますので、記念撮影が可能です。ライン下りをするにはここで降りる必要があります。
長瀞を発車すると4分ほど(このときは11:42)で、ビューポイントの1つ、荒川橋梁にさしかかります。この写真はSLの煙でイマイチですが、本来ならパンフレットにあるように、雄大な荒川の自然を十分に味わうことができるはずです。また、この地点はライン下りのコースでもあります。時間がちょうど合えば、列車からライン下りの様子を見ることができます。逆に言うと船から橋梁を渡るSLを見ることができる、ということです。そんな写真もホームページで見かけることがありますが、絵になると思います。
ここから先は50分ほどビューポイントなどはないので、ちょうどお昼時ですし、お弁当を食べることにしました。SLの形の海苔が乗っている、おもしろいお弁当です。お弁当を食べながら、汽車からの車窓を楽しみます。
次のビューポイントは12:30頃、安谷川橋梁です。水面からの高さが40m、真っ赤なトラス橋だそうです。橋そのものは列車からは残念ながら見えませんが、乗車しているわたしたちにとっても、パレオエクスプレスを撮影する方にとってみても、ビューポイントになります。この写真からは見えませんが、恐らくこのSLを狙っているカメラマンが大勢いるのだと思います。ここを過ぎると終点の三峰口はもう近くです。残り少ない汽車の旅を楽しんでください。
転車を見よう
終点の三峰口に着くとSLは客車からすぐに切り離され、写真を撮っていた大勢の人に見送られて少し先で止まります。写真の向こうに踏切が写っていますが、そのあたりです。SLはそこで、しばらくの休憩を取ります。灰を捨てたり給水を行うそうです。この時間が、最大の撮影チャンスとなります。あまり勧められたことではないとも思いますが、線路の上に降りて、右にあるようにSL横から写真を撮ったり、また
近くから写真を撮ったりすることができます。このときは、線路のポイントに足をかけないように注意してください。駅員さんの話では、万が一ポイントが動作するようなことがあれば足が挟まれ大変なことになる、そうです。
13:20くらいになると、わたしたちに線路から出るようアナウンスがあります。転車のためにSLが動き出すのです。なお転車とは前に記載しましたようにSLの前と後ろをひっくり返すことです。簡単にひっくり返すと言っても線路の上を走る汽車ですから、車のように簡単に切り返しをする訳にもいきません。そこで、転車台というものに乗せて、その転車台を180度回転させることで、前後をひっくり返す訳です。今はなかなか見ることのできない珍しいシーンですから、時間があれば是非ともご覧になることをおすすめします。
これから30分ほど経つと、このSLは上りとして熊谷へ向けて走っていきます。わたしたちは一足先に普通電車で、ライン下りのある長瀞へと向かいました。ただ、すぐライン下りに向かってしまうのももったいないので、長瀞で上りのSLが来るのを待つことにしました。
そして、15:01に長瀞駅に来るSLを撮ったのがこの写真なのですが、これから駅に入ろうとするためからなのか、煙が出ていません(T_T) やっぱり煙がないとSLも寂しいものですし、躍動感がありません。
右の写真は長瀞を出発するときの写真なのですが、SLを撮影する場合は駅の前ではなく先で撮るのがいいようです。また、出発するときには耳をつんざくまでのけたたましい汽笛を聞くことができます。今までは乗車していたのでSLの中からしか聞けませんでしたが、駅を出発するSLを見送りながら聞く汽笛もまた、いいものです。
かくして、SLの旅は終了しました。また乗ってみたいと思っていました、が・・・ まさか次週で実現するとは思ってもいませんでした(^^; パレオエクスプレスの旅の最後に、1つページを紹介させていただきます。Train's Photo Galleryさんです。ご自分で撮られた写真を掲載しているページなのですが、特にパレオエクスプレスについてが充実しています。パレオエクスプレスの乗車前に、そして乗車後に振り返るときにでも、どうぞご覧になってみてください。
長瀞ライン下り
SLパレオエクスプレスを楽しんだあとは、長瀞ライン下りへと向かいました。ページにあるように、ライン下りは長瀞駅を降りてすぐの案内所に案内が出ています。さてここで迷うのが、コースを何にするか、です。コースは2つありまして、荒川橋梁の近くから始まって長瀞駅近くまで(Aコース)、と、長瀞駅近くから始まって高砂橋というところまで(Bコース)、です。そしてもう1つの悩み所は、この両方のコースを続けて乗る、というコース(Cコース)があることです。基本的には片方のコースが1550円ですので、Cコースでは3100円になりそれなりに高価です。個人的なおすすめはCコースです。せっかく来たのですから長い時間楽しめるCコースがいいのではないかと思います。ちなみにわたしが乗ったときには時間が遅くこの日の最終便で、Cコースには若干の割引がかかっていました(のでCコースにしました)。各コースの内容ですが、Aコースはどちらかと言うと急流が多く、Bコースは長瀞の名の通り、静かな水面が続くようなことが多かったように思います(長瀞というのは船頭さんの話によると、長い瀞、のことで、瀞は漢字の作りの通り、静かな水を示すとのことです)。
ということでCコースを選んだわたしたちは、出発地点の荒川橋梁の近くまでマイクロバスで向かいました。この写真に写っているような船に乗って、いざライン下りへ出発!
写真に見える橋が、荒川橋梁です。残念ながら上りのSLは先ほど長瀞駅で見送ってしまったのですが、14:10くらいのライン下りであれば、川の上からの絶好のポジションから、橋梁を渡るSLを見ることができるはずです。
ライン下りでは、船頭さんが写真のように竿一本で、巧みに船を操っていきます。写真のように流れの緩やかなところならいざ知らず、このように急なところでもそうなのですから、驚いてしまいます。ただ、たま〜に勢いがつきすぎて船が川岸の岩にぶつかってしまうことも、わたしが乗ったときには1度だけありました。ご注意ください。
わたしが乗ったときは写真にあるように西日が差していて、赤い紅葉がいっそう赤く映えていました。ただ船頭さんの説明によると、あと一週間くらいあとが紅葉の最盛期だろう、とのことでした。
西日の差す川縁はとても美しく、揺られながらも夢中でシャッターを切ってしました。これが東京湾へ流れ込む荒川なのですから、にわかには信じがたいものがあります。上を見上げると、たまに対岸同士で糸のようなものを張っているのが見えます。これはカワウ除けだそうで、それだけ荒川の上流は魚が豊富で、そしてまた、それを取る水鳥たちも暮らしている、ということが分かります。
途中には、このように美しい景色も広がります。ライン下りのページには、 長瀞の自然が創りあげた芸術品ともいえる景観、とありますが本当にその通りです。川の静かな水面、岩肌、そして紅葉した木々の織りなす景色は美しく、ライン下りを体験してよかったな、と思わせてくれます。ところでこのページではこのように写真を撮っていますが、実際は、特に先ほど挙げた急流では水しぶきが跳ね飛びます。船頭さんの話ではバケツ一杯くらいは飛んでくるそうで、船にはそのためにビニールシートが用意してあります。危険なところは船頭さんが事前に知らせてくれますので、乗船している全員でシートを船の両脇に立て、水の侵入を防ぐ訳です。しかし防ぎきれない水しぶきも時にはありまして、カメラのような機器にとってはとても危険な環境です。十分に注意して、利用してください。
こちらの写真は、恐らくBコース側だったと思います。まさに長い瀞、といった景色が広がります。こんな雄大な景色の中を、船は船頭さんのガイドを交えながら、竿一本の制御で進んでいきます。
と思うと次の瞬間にはこんな岩の続く景色になっていたり、Bコースもとても楽しめるコースです。やはり、時間がある方は両方のコースを体験されることをおすすめします。次々と表情の変わる水面、そして川辺の風景を、川の上から眺められるのがこのようなライン下りの醍醐味です。およそ40〜50分程度と思いますが、貴重な船の旅を体験できます。汽車の旅もいいのですが、このようなゆったりとした船の旅も、また素晴らしい体験でした。
終点からは、行きと同様にマイクロバスで長瀞駅まで送ってもらえます。
SL磐梯会津路号とばんえつ物語号
2003年11月23日、今度は郡山〜新潟間の、SL磐梯会津路号およびばんえつ物語号に乗りました。もともとそんな予定はなかったのですが、急遽そういうこととなりました(^^;
下調べ
まず重要なのは、下調べです。わたしは長瀞からの帰りのJR駅でいきなり計画を立てたので下調べは十分ではなかったのですが、参考になるページとしては、
- SLばんえつ物語号(JR東日本・新潟支社)
- 磐越西線”SL”運行推進協議会
- 磐越西線SL定期運行推進協議会
が挙げられるかと思います。時刻表に関しては新潟支社のページを参考にし、その他の、例えば走っているSLの歴史や沿線の見所などを知るには、4つのページを合わせて参照するのがいいかと思います。ちなみにばんえつ物語号として走っているSLはC57という種類で貴婦人とも呼ばれます。昭和21年に製造され昭和44年に廃車、新津の新津第一小にしばらく保存されていたのですが、平成11年に復帰しました。
なおばんえつ物語号はほとんどこのC57が走るのですが、磐梯会津路号は同じSLが走ることや、冬になるとデゴイチと呼ばれるD51が走ることもあるようです。先に紹介したページやJR東日本のプレスリリース、またみどりの窓口で問い合わせるなどして、調べてみてください。わたしが乗ったときには汽車・客車ともに、磐梯会津路号・ばんえつ物語号ともに同じものでした。これを書いている現在(12月24日)C57はボイラーが壊れて修理中で、D51がばんえつ物語号としてクリスマス運転をしたそうです。
まず、最も重要なことは、いつ走るのかを調べることです。磐梯会津路号もばんえつ物語号も季節列車で、ある特定の時期しか走りません。ですので市販の最新の時刻表で、走る日にちと向きを調べる必要があります。パレオエクスプレスは1日1往復でしたが、磐梯会津路号やばんえつ物語号は日によって新潟行きだったり会津若松行きだったりします。乗る日にちが決まったら、次は指定券の予約です。このSLは両方とも指定券が必要です。パレオエクスプレスは整理券でしたがこちらは指定券なので座席指定となり、当日並ぶ必要がありません。指定券の値段は510円で、新幹線などの指定券と同様、一ヶ月前から予約が可能です。また、当然乗車券も必要なので、購入してください。ちなみにわたしは、ついでにいろいろ回ろうと考えたので、土・日きっぷ(現在これに近いものは週末パス)を使いました。このフリー切符は東北地方は古川まで、上越地方は新潟を含んでいますので、東日本を回るのには便利です。また指定券が4回まで使えますので、磐梯会津路号もばんえつ物語号で2回利用したとしてもあと2回使えます。わたしは、行きと新潟からの帰りに利用しました。
わたしが乗ったときは下りの郡山から新潟まで、乗り継ぎはあるもののSLのみで行けるようになっていて、
- 磐梯会津路号 郡山 9:43 発、会津若松 12:21 着、七日町 12:32 着
- ばんえつ物語号 会津若松 15:06 発、新潟 18:40 着
でした。会津若松で降りて待つとすると、2時間半の時間があります。それ以外は全てSLです。従いまして、郡山から新潟までをSLで制覇するとすれば、会津若松もしくは七日町以外では観光などはできないことになります。この1日をSLに捧げるつもりで乗らなければなりません。当初のわたしの計画は、一度会津若松で降りて適当に時間をつぶし、またSLに乗って新潟へ向かい、そしてその日の内に帰る、でした。時間があれば、新潟や新津付近で一泊し上越地方を観光するのもいいかと思います。
いざ、乗車!
当日は、9時過ぎに郡山駅のホームへと向かいました。入線は9:24でした。係員の人が乗ったSLが、ゆっくりとやってきます。こういう特別な列車によくあるヘッドマークを、磐梯会津路号はつけていませんでした。同じ車両のばんえつ物語号はつけていますので、不思議なものです。
時間が若干あったので、ホームの逆側にも回って撮影してきました。たまにこちらのホームを利用する電車が入ってくるのですが、そのような電車がいなければこちらの方がよく見えます。
9:43に、SLは高らかに汽笛を鳴らして出発となります。おもしろいのは、ディーゼル機関車が後ろから押す編成になっていることです。恐らく磐越西線は勾配が急で、SL一両では牽引しきれないからかと思います。この機関車は、途中で切り離されたようです。
さて、出発してしまうと車窓を眺めるか客車の中を歩き回るか、になります。車両はSLも含めてばんえつ物語号と一緒で、違うのは先ほど書きましたようにヘッドマークのあるなしくらいです。客車の中に時刻表が掲げてあるのですがそれもばんえつ物語号のものですし、4号車は展望車になっていてそこでグッズが売っているのですが、それもばんえつ物語号のものでした。
この展望車ですが、中身はこんな感じです。一番奥でグッズや食べ物・飲み物の販売をしています。ちなみに数に限りがあり、遅い時間に買おうとすると何も残っていません。要注意です。
車窓はなかなか見ていて楽しいです。右の写真にあるような山々が見えたり、
左の写真にあるように(たぶん)会津磐梯山が見られたりします。また猪苗代湖の近くも通りますので、湖が見えることもあります。
ところで、この時期の東北地方はさすがに寒いです。上に挙げたような車窓の風景や右にあるようなSLの写真を撮るために窓を開ける訳ですが、とにかく寒いです。一週間前のパレオエクスプレスとは大違いです。線路脇には大勢の鉄道好きなカメラマンがこちらを狙っているのですが、その装いも一週間前とは打って変わって、完全防寒対策済みでした。わたしは全くもってその寒さを甘く見ていて、撮影のために体の芯まで寒くなってしまい、結局風邪を引くハメとなってしまいました。皆さんはご注意ください。
七日町観光
こうしてわたしたちは一路会津若松を目指した訳ですが、駅近くになって、終点七日町の「七日町通りまちなみ協議会」(参考となるページはこちら)の方々が、七日町の宣伝にやってきました。七日町駅は郡山〜新潟のライン上にはなく、途中の会津若松から1駅枝分かれしたところにあります。なので多くの人は会津若松で降りてしまい七日町に来てくれないということで、こうして宣伝に来ているようです。この日はJRの厚意で会津若松までの乗車券で七日町まで乗り越しできます、ということもアピールしていました(ちなみに、郡山から会津若松までの切符を買っているのであれば、七日町まで乗り越しても料金は元々変わりませんが)。宣伝では白虎隊に扮した女性たちが「七日町お楽しみ券」という協議会参加のお店で使える500円割引券とパンフレット、そして七日町で行われる「甘酒の振舞い」と「白虎隊の踊り」を紹介していました。ちなみに甘酒と踊りは、駅近くの阿弥陀寺で行われます(パンフレットには甘酒はホームで行われるとありましたが、実際はお寺ででした)。
という訳で、これと言って会津若松での計画を立てていなかったわたしは、七日町まで行くことにしました。七日町駅でSLを見送り、駅の外へと出ます。ちょうどそこには観光用の「まちなか周遊バス」が来ていました。このバスは七日町近くの観光地である飯盛山や鶴ヶ城にも止まりますので、時間があるときには便利かと思います。ちょうど2004年のNHK大河ドラマは新選組ですから、そのゆかりの地を訪れるには便利かと思います。料金は、2003年の時点では200円だそうです。この付近の観光情報は会津若松の会津若松観光ナビに、会津若松だけでなく七日町の情報も含めて記載されていますので、ご参照ください。
まず最初に訪れたのは、(甘酒をいただくために)阿弥陀寺です。そこで甘酒をいただいて体を温めながら、白虎隊にちなんだ「白虎隊踊り」と「女白虎隊」を見てきました。またこのお寺には、新選組三番隊長、斎藤一の墓があります。見終わったあたりで、SLがバックで会津若松駅の方へ戻っていきました。恐らく、会津若松駅構内に転車台があるのではないかと思います。
次にとりあえず町を歩いてみました。古い街並みを大事にしている町というのがよく分かります。コンビニまでがこんな造りになっていまして、おもしろいです。その中で、日本酒を買うために鶴乃江酒造に寄り、またあまりにも寒いので満田屋に田楽を食べに行きました。みそ田楽のAコースをいただいたのですが、寒い中、かなりいけます。たまたま見かけて入ったのですがそれなりに有名なお店らしく、30分ほど待ってようやく田楽にありつくことができました。この後、徒歩で会津若松へ向かいます。
ばんえつ物語号
15:00に会津若松のホームに到着したときには、すでにばんえつ物語号は入線していました。横からの姿はこんな感じです。車両はSLも含めて磐梯会津路号と一緒ですが、ただ客車の前後が反対になっています。その他はグッズ販売など含めて、磐梯会津路号一緒です。
観光列車としてはばんえつ物語号の方に力が入れられています。ヘッドマークもつきますし、車両もばんえつ物語号向けに案内板などがついています。子ども向けイベントもあります。また、こちらでは乗車手帳やポストカードも配布されます。乗車手帳には発着時刻の書かれた時刻表、沿線マップ、沿線みどころなどが記載されています。これによると停車駅の中で長時間止まる駅は野沢駅と津川駅になります。ただ津川駅は下り方面は17:01の到着で、この時期ですとかなり暗く、実質上撮影ができる駅は野沢駅のみとなります。下りの走る時間が遅い、というのは車窓にも当然影響を与え、森と水とロマンの鉄道、というくらいで阿賀野川沿いを走る車窓はとても美しいのですが、津川駅のあたりで残念ながら夜となってしまいました。暗いので、車窓の写真もうまく撮影できませんでした。
ばんえつ物語号はSLに乗ることそのものが目的だったので、会津若松から新潟まで、ずっとSLに乗っていました。もう午後になってしまうと、それでなくとも寒いものがより寒くなり、窓を開けて車窓を楽しむといったことは不可能になります。
という訳で、ほとんどがSLでの旅そのものを楽しむ行程、それも後半は車窓もなくなります。正直、列車での旅が好きな人でないと、飽きてしまうでしょう。展望車で談笑をするのもいいのですが、この日は(いつもそうなのかもしれませんが)子供向けイベントで展望車の一部は使われていて、静かに談笑をする、といった雰囲気ではありません。客車は客車で、新潟近くになるとお酒の匂いが立ちこめるようになってしまって、子どもには気の毒です。
日が落ちるとこの写真のようにいつもとは違った写真が撮れたり(明るいとこんな感じです)、夜汽車の旅そのものも悪くはないのですが、特によく見かける子どもと一緒の方は、途中で降りて一泊し翌日帰る、や、展望車でずっと子どもの相手をするなど、何か飽きさせない工夫が必要かと思います。このあたり、移動手段であることの多い新幹線とは違った、列車の旅そのものが目的なゆえの難しさがあります。
18:40に新潟駅に着いた列車は、19:00に高らかに汽笛を鳴らして、テールランプを灯しながら出発していきました。
SLには、移動そのものも旅の1つとして楽しむと言った、新幹線では味わえないような旅の醍醐味をわたしたちに教えてくれます。これをご覧になった皆さんにも、一度は体験していただきたいと思います。