Canon EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM 購入まで
Canon EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM を購入した。
今まで望遠側は TAMRON 28-300mm(A06)、次いでこれを売却し、デジタル一眼(APS-Cサイズ)専用の TAMRON 18-200mm(A14)を使用していた。特に 18-200mm は使い勝手という面ではとても素晴らしいレンズであったが、いかんせん高倍率ズームなので開放での画質がイマイチというイメージが強かった。1段絞れば十分使えるという印象なのだが、元々が明るいレンズでは無いため、いつも絞って使うというのは厳しい。また手ぶれも心配だ。
ということで、絞り開放でも使える TAMRON 18-200mm を上回る画質の望遠レンズを探すことにした。
検討当時では無く、現在で選択肢となるものは、
メーカ | 名称 | 焦点距離換算 | 実売価格 | 重量 | APS-C |
Canon | EF 70-300mm F4-5.6 IS II USM | 112-480 | 57,980 | 710 | − |
TAMRON | SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(A005) | 112-480 | 31,590 | 765 | − |
TAMRON | SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(A030) | 112-480 | 41,310 | 765 | − |
Canon | EF 70-300mm F4-5.6L IS USM | 112-480 | 114,500 | 1050 | − |
Canon | EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM | 112-480 | ? | 720 | − |
SIGMA | APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 112-320 | 92,990 | 1430 | − |
TAMRON | SP 70-200mm F2.8 Di VC USD | 112-320 | 107,110 | 1470 | − |
TAMRON | SP 70-200mm F2.8 Di VC USD G2 | 112-320 | 143,370 | 1500 | − |
Canon | EF 70-200mm F4L IS USM | 112-320 | 116,370 | 760 | − |
Canon | EF 70-200mm F2.8L IS II USM | 112-320 | 222,860 | 1490 | − |
だ。しかし、ここには複数カテゴリのレンズが含まれてしまっている。
- 望遠側が 200mm までか、300mm までか。
- 明るさがズーム全域で F2.8 一定の明るいレンズが、F4 一定のそこそこ明るいレンズか、F 値が変わる比較的普及型のレンズか。
といったものだ。さらに同一カテゴリの中に手ブレ補正の有り無しが加わる。ここをはっきりさせないと、レンズ選びを誤ってしまう。
さて、以下は EF 70-200mm F4L IS USM, TAMRONの70-300mm手ブレ補正ありズーム、70-300mm F4-5.6L、70-300mm F4.5-5.6 IS IIは販売されていなかったときの話なので、ご注意いただきたい。なお以下では、70-300mm F4.5-5.6 ISを旧型と称している。
F2.8 一定のものは、明るくて使いやすく、また特に L レンズは画質も高いと考えられよいのだが、高価で重い。わたしの場合、移動は列車や徒歩が多い上に手持ちが多いので、まずはこれを選択肢から外した。この時点で、選択肢としては EF 70-300mm F4-5.6 IS USM(旧型) と、EF 70-200mm F4L USM が残った。
次いで望遠側の焦点距離をどうするか、だが、現在 18-200mm を持っていることから、ここは欲張って 300mm までとすることにした。さらに EF 70-300mm には IS もある(購入したときには EF 70-200mm F4L IS USM は無かった)。わたしは先ほど書いたように手持ちで撮影することが多く、この IS のメリットは大きい。
ということで EF 70-300mm F4-5.6 IS USM(旧型) にしようかと考えたのだが、検討していた当時はなかなか品薄でお目にかかれなかった。またこの上位に EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM がある。この両者を比べると、EF 70-300mm F4-5.6 IS USM(旧型) の弱点が目についてしまう。それは仕様からはなかなか見えないが、フォーカス時フィルタ枠が回転してしまい PL フィルタが使いづらい、という点だ。風景撮影や水面が写る場合を考えると、この欠点は致命的とも思える。逆に EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM の致命的弱点は、価格の高さだ。倍は高い。
PL フィルタの使い勝手を考えると EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM しか選択の余地は無い。また EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM は AF も速く IS の効きもよく、さらに若干重いが全長が短くコンパクトであるという特徴も、なかなかに気に入った。さらに価格は買うときには大きな障壁だが、使い勝手と異なり一度買ってしまえば問題にはならない。
ただ、インターネットで検索をすると画質に問題があるという記事をよく目にした。特に、このデジカメWatchの記事だ(その後書かれたEF 70-200mm F4L IS USM の記事と、EF 70-300mm F4-5.6 IS USM(旧型) の記事、EF 70-300mm F4-5.6L IS USM の記事もご参照いただきたい)。これを見て正直迷った。ただよく参考にしている CAPA 別冊で画質の点で高評価を得ていることもあり、また価格から考えればいくら悪くとも 18-200mm(A14) よりは良いだろうと考えた。ということで、結局思い切って EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM を購入することとした。
今は選択肢として、EF 70-200mm F4L IS USM と、TAMRON, SIGMAの70-300mm手ブレ補正ズーム、EF 70-300mm F4-5.6L IS USM、EF 70-300mm F4-5.6 IS II USMも考えねばならない。EF 70-200mm F4L IS USM は画質は良いのに軽く IS の効きは4段と素晴らしい。TAMRONの70-300mm手ブレ補正ズームは価格が安く、手ブレ補正の効きもよいと聞く。EF 70-300mm F4-5.6L IS USMは重いが画質は良さそうだ。EF 70-300mm F4-5.6 IS II USMは旧型と比較して画質が向上していると聞く。
Canon EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM 使用感
EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM を EOS Kiss Digital X につけてみた。見た目コンパクトなのに、ずっしりと重い。今まで重いと思っていた EF-S 17-55mm よりも重いのだから、それは当然か。とは言うもののこのコンパクトさの魅力は大きく、十分にこのレンズをつけてカメラを振り回す気になる。
ただ広角側が70mm(換算112mm)からの始まりであり、付けっぱなしにしてスナップ撮影、という使い方にはちょっと長いように思う。望遠側が足りないのはトリミングで誤魔化せるが広角側はそうはいかないので、どうしても標準域のレンズを併用することになる。場合によってはコンパクトデジカメを併用してもいいかもしれない。
収納性は、この焦点域のレンズとしてはだが、よい。フィルタ系からするとちょっと寸胴ではあるが全長が短いのでさほどは困らない。
AFは定評の通り速く、気持ちよく使える。このレンズはAF時フォーカスリングが回らず、フルタイムマニュアルフォーカスが可能だ。ただし Kiss Digital のファインダーで MF にて正確にピントを合わせるのは辛い。
ズーム操作については、評判通り使いづらい。ズームリングの幅が狭いし、堅い。まぁここは、慣れでなんとかカバーできるだろう。
手ぶれ補正
このレンズは EF-S 17-55mm F2.8 IS USM に続き、IS つきレンズの2本目になる。EF-S 17-55mm は標準域だったので、手ぶれ補正つきの望遠レンズを使うの今回が初めてだ。使ってみると、さすがに手ぶれ補正のついた望遠レンズは便利だ。補正の効きも良いし、ファインダー像がぶれないので安心感があるし、対象を中央に捉えやすので AF がやりやすい。ところで、ボディ側手ぶれ補正の場合は AF はどうしているのだろう。ファインダー像のぶれはオリンパス機のようにライブビューができれば問題ないが、そのときは測距点も連動して動いてくれないと困るようにも思う。
スペック上、シャッター速度3段分の補正効果がある。シャッター速度で8倍に相当するので、その効果は絶大だ。ただ手ぶれ補正は被写体ぶれには効果はない。望遠なのでその点にも注意をしたいところだ。
画質
さて、問題の画質だ。APS-C サイズである Kiss Digital X での結果を見てみたい。
正直価格と画質だけを見れば釣り合わないと思うときもあるが、このレンズにはコンパクトさという大きな魅力もあり、使い続けてみたいとは考えている。
まず、比較的遠い被写体を写したときの話だ。このときは、200mm を超えるような場合には1段は絞った方がよさそうだ。300mm F5.6 では全体的にモヤがかかったような、コントラストの低い画となってしまうように思う。70-200mm の範囲では1段絞った方が良くはなるが、開放でも使えると思う。元々が明るいレンズでは無いので、画質を得るために絞りすぎて、シャッター速度が遅くなり被写体ぶれ・・・ は避けたいところだ。この兼ね合いが難しい。また絞れば絞るほど画質が良くなる、といったものでもないようなので、絞るのは F11 くらいまでにするのが良いようだ。わたしの場合は F5.6 から1段絞って F8、という使い方が多い。
最短撮影距離のあたりでは開放のままではモヤがあるというか、コントラストが低いというか、にじんでいるような絵になってしまう。シャープに撮りたい場合には1.4m あたりのマクロ域では開放で使うのは避けている。ただそこそこ絞っても、にじみはあるようだ。逆にソフトに撮りたければ最短撮影距離で開放というのもおもしろい。開放付近でチューリップを撮るのに使ってみたが、悪くない(次の写真などもご覧下さい)。
デジカメ Watch の EF 70-300mm F4-5.6 IS USM(旧型) の記事では、EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM は EOS 5D で使用したとき、広角側の周辺画像が悪いことを指摘されているが、APS-C サイズの Kiss Digital X では今のところ気にならない。
使っていて感じるのは、画質の善し悪しがばらつく、ということだ。半年使ってもクセが分からない。レンズのクセを見抜くのも写真の腕の1つと思うが、わたしには残念ながらそのような腕は無いようだ。画質が良いときにはわたしの目では、後に購入した EF 70-200mm F4L IS USM と比較しても大きな不満は無い。そう考えると、レンズの良さの引き出し方が分からないことが残念でならない。ただし、TAMRON 18-200mm(A14)と比較すると間違いなく画質は高い。そう言った面では購入意図には合っていると思う。
EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM をどう使うか?
では、このレンズはどのように使っていけばよいだろうか。実際に使っていての不満は、シャープに撮りたいのにシャープに撮れないことがある、点だ。ならソフトに写ってもよい場合や焦点域とコンパクトさを活かしたいときには EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM を、どうしてもシャープに写したい場合は別のレンズを、という具合に、用途によってレンズを使い分ければいいものと思う。
併用するレンズとしては、このレンズとはある意味対局な大きく重い大口径望遠ズームレンズ EF 70-200mm F2.8L IS II USM、あるいは利便性で対局にある中望遠〜望遠単焦点レンズ EF 85mm F1.8 USM、EF 100mm F2 USM、EF 135mm F2L USM、EF 200mm F2.8L II USM が挙げられる。これらのレンズの個性は EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM とは大きく異なり、使い分けが可能と考えられる。どちらかを選んで持ち出すということであれば EF 70-200mm F2.8L IS II USM がいいだろうし、両方持ち出して被写体によりレンズ交換をするのであれば明るい中望遠〜望遠単焦点レンズがいいだろう。
しかし、結局機動性が高く画質でも定評のある EF 70-200mm F4L IS USM を購入した。このレンズは EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM とは異なる個性を持ってはいるのだが、比較して特に明るい訳でも無く、重量もあまり変わらず、上に挙げたレンズほどは異なる性格のものでは無い。そういう意味では、EF 70-300mm DO の位置づけが微妙になってしまった。こう考えると、購入当時は EF 70-200mm F4L IS USM が発売されていなかったとは言え、購入に際しての考慮が足りなかったと思う。
ただその後、EF 135mm F2L USM を購入した。このレンズとであれば EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM のクセも活かせるように思う。いろいろと、使ってみたい。
まとめ
EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM は高価であり、同価格帯に EF 70-200mm F4L IS USM や EF 70-300mm F4.5-5.6L IS USM がある。性能の高い望遠レンズを欲しいということになれば、価格帯から見ても対象になり得るレンズだ。ではどちらを買えば満足度が高いか、と問われれば、全長や焦点距離に問題が無ければ、EF 70-200mm F4L IS USM の方が満足できるものと思う。300mm 域も欲しいがさほど重視はしないということであれば、70-200mm F4L に 1.4X のエクステンダーを購入するということもできるだろう。300mm が必要であれば、EF 70-300mm F4.5-5.6L IS USM がよい。EF 70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM はクセが強く、わたしのような初心者が使いこなすには難しいという印象だ。シャープな望遠域のレンズを併用するのであればこのレンズもいいだろうが、望遠ズーム1本ということであれば、EF 70-200mm F4L IS USM をお薦めしたい。