はじめに

Canon EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM を購入した。このレンズの購入まで、使用していたレンズは 18-55mm や 18-200mm と 18mm(35mm フィルム換算で 28.8mm) が最も広角側だった。28.8mm でもかなり広角なのだが、さらに広角側のレンズが欲しいというのが購入した動機だ。

広角側換算焦点距離16mmというのは、別世界の感がある。18-200mm などの高倍率ズームレンズ同様、あってソンは無いレンズだ。

EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM購入まで

EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM購入

JR山陰本線・餘部鉄橋から(ちょっと斜めですが)
10mm, Av=5.6, Tv=2000, ISO=400, Kiss Digital X
リンク先は等倍・高圧縮

2006年4月、Canon EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM を購入した。5月の旅行で「後ろに下がれない室内でできるだけ広く撮影したい」という撮影シーンが想定されたためだ。単焦点魚眼レンズも候補として考えはしたのだが、一般的な風景撮影も考え広角ズームレンズを購入することとした。

なお今では Tokina の 10-17mm 魚眼ズームレンズが発売されていて、用途によっては選択肢にも入るだろう。ほぼ画角180度に近い対角魚眼レンズから、歪みのちょっと大きな超広角レンズのような使い方もできそうで、興味深いレンズだ。ここで説明する広角レンズとは性格の異なるレンズなので、両方持っていてもおもしろそうではある。

さて現在、Canon EF-S マウントに使うことのできる広角ズームレンズは、次のものがある。なおキヤノンのレンズは EF-S マウント専用のために、10D以外のAPS-Cデジタルカメラにしか使えない。タムロン・シグマ・トキナーのレンズは EF マウント用のために、10D でも使用可能だ。

広角ズームレンズ
メーカ名称焦点距離換算実売価格重量APS-C
SIGMA8-16mm F4.5-5.6 DC HSM13-2557,680555
CanonEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM16-2932,780240
CanonEF-S10-22mm F3.5-4.5 USM16-3566,940385
TAMRONSP AF10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical [IF]16-3833,900406
TAMRON10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD16-3855,890440
SIGMA10-20mm F3.5 EX DC HSM16-3244,350520
TokinaAT-X 116 PRO DX II(11-16mm F2.8)17.6-25.655,290550
TokinaAT-X 11-20mm F2.8 PRO DX17.6-3268,770560
TokinaAT-X 12-28mm F4 PRO DX19.2-44.846,000530
TokinaAT-X 14-20mm F2 PRO DX22.4-3295,780735

購入当時、EF-S 10-18mmとSIGMA 8-16mmと10-20mm F3.5は無く、TAMRON 10-24mmタムロンは旧世代の11-18mmだった。その中から選ぶとすれば、高価ではあったが10-22mmの焦点距離を持つ EF-S 10-22mm が妥当であり、購入に至った。

今選ぶとすれば、一番のおすすめはEF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM。純正なのに一番安く、一番軽い。もしこれよりも広角側が必要であればSIGMA 8-16mm、テレ側も必要であればTAMRON 10-24mmだろう。なおTAMRONは2017年に新型を発売している。EF-S 10-22mm はよいレンズなのだが、EF-S 10-18mm が出た今となっては、おすすめしづらい。なお明るさが欲しいというときには、SIGMA 10-22mm F3.5 やTokina 14-20mm F2も選択肢に入ってくる。

アクセサリの購入

次に、レンズに関するアクセサリを購入した。購入したものは、

だ。

キヤノンのレンズはケースはあるのにフードが別売りのことが多く、別途購入する必要がある。プロテクターはレンズの保護には必須だ。C-PL フィルタは風景写真にはやはり必要だろう。ということでそれぞれ購入したのだが、C-PLフィルタはこれだけのフィルタ径(77mm)になると高価で、これらを合わせるとかなりの出費になった。

標準のフードは「EW-83E」だ。ただこれは大きいと聞くので、EF 24-105 F4 L IS USM用のフード「EW-83H」を使うことにした。ただしそのまま使用すると左右にフードが若干写り込んでしまうので、削る必要がある。ホームセンターで電動ドリルドライバーを購入し、ドライバーでなく金ヤスリをつけて、それで削った。

プロテクターは Kenko の PRO 1 D プロテクター(W)。C-PL フィルタは同じく Kenko の PRO 1 D WIDE BAND サーキュラーPL(W)を購入した。広角レンズにも使える薄枠ということで購入したのだが、フィルタ取り付け用の枠が薄すぎてレンズキャップの取り付けが不完全になってしまうのがちょっと難点だ。ただ気をつけて使えばそう外れるものでもないので、それほど問題にはならないだろう。

EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMを使ってみて

使用感

赤そばの里
10mm, Av=16, Tv=1/100, ISO=200, Kiss Digital X
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EF-S 10-22mm を EOS Kiss Digital につけてみた。TAMRON 18-200mm A14 と比較しても若干軽く、Kiss Digital で使用してもバランスはなかなかよいと思った。また、装着したときの見た目が思いの外いい感じだ。さすがはわたしが保有するレンズの中で高価な部類だけのことはある。

収納性はそれほどよく無い。キャップなども含めた全長はコンパクトな TAMRON 18-200mm A14 とさほど変わらないのだが、広角レンズだけあって特に先端部分が太い。またフードは標準の EW-83E よりも小さい EW-83H を使用しているのだが、それでも A14 と比較すると大きく、かなりかさばる。

AFはさすがにUSMだけあって極めて静かであり、高速だ。購入当初によく組み合わせていた TAMRON 18-200mm A14 と比較すると静かさと速さが際立つ。またこのレンズはAF時フレーム枠が回らず、さらにフルタイムマニュアルフォーカスが可能だ。ただし Kiss Digital のファインダーで MF にて正確にピントを合わせるのは辛いので、そう使用する機会は無いように思う。フルタイムマニュアルフォーカスのレンズはこれが初めての所有だったので、使ってみるとおもしろい。

最短撮影距離はズーム全域で24cm。最短では Kiss Digital でのワーキングディスタンスは実測8cmほどで、かなり被写体に近づき、広角レンズならではの遠近感の強い写真を撮ることが可能になる。

画角

寝台特急カシオペア・ラウンジカー
10mm, Av=3.5, Tv=1/800, ISO=800, Kiss Digital
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さすがは 35mm 換算 16mm から始まる超広角レンズだけのことはあり、ファインダーの中は別世界だ。とにかく、写り込む範囲が広い。風景を撮影するのであれば、広々とした景色を見た目以上に広々と写し取ることができる。また狭い室内でもかなりの広さを写すことができ、購入用途通りの撮影をすることができた。また、望遠側35mmも、室内での撮影に使うのであれば便利に使える。

わたしの場合は単純に「室内で広く撮りたい」ためにこのレンズを購入したが、広角レンズ好きな方であれば、これ1本を付けっぱなしにして素晴らしい写真が撮れるに違いない。

画質

10mm では F3.5 の開放から十分シャープに写っている。ただしこれは個体差と思うが、わたしのレンズでは右側がややボケているようにも見えた。周辺では輝度差の激しいところでパープルフリンジが若干出ているが、それほど気になるほどではない。

22mm でも F4.5 の開放から十分シャープだ。ワイド端で見られたようなパープルフリンジも見えない。

わたしのような初心者レベルでは、ピントをちゃんと合わせれば(どうにも初心者にはこれが難しいのだが)、開放から積極的に使ってシャッター速度を上げ、手ぶれを減らすことができそうだ。もちろん三脚に据えて絞って、風景をきっちり撮る使い方にも向いている。

18mm で EF-S 18-55mm と比較してみた。10-22mm の方がシャープであり、かつ 18-55mm で見られるような滲み?も感じられなかった。ただ等倍で見て分かる程度であり、正直 EF-S 18-55mm は健闘していると思う。